さて次は、家にずっといるのが無理なタイプの、比較的小さいお子さんの保護者さん向けのお話です。
家にいるのが無理なら普通は公園に行って遊ばせたりするか、もしくはイオンなどの大きなショッピングモールへ連れて行かれることも結構あるのではないかと思います。しかし、今回の場合、家にいられないからといってショッピングモールで時間をつぶすのは、避けたほうが良さそうです。不特定多数の人間が触ったものに触れることで感染リスクを高めますし、子どもの遊び場で子ども同士や大人から子どもへの飛沫感染が起きるかもしれず、怖いですよね。

これは、今回のような事態に限らず、小さいお子さんの保護者の方にはちょくちょくお話することなのですが、もし、お子さんが、感覚過敏があるひとの場合。小さいころはあまり、騒がしいショッピングセンターへ連れて行かないほうがいいかも?しれません。

連れて行ってもいつも特になにごとも起きない、というのであればもちろん問題ないでしょうが、連れて行くたびに何かゴネたりパニックを起こしたり、いなくなったり走り回ったり奇声をあげたりするようなら、その場は、「今の」お子さんにとっては、刺激が多すぎる場なのかもしれないのです。

まだ幼く、様々な刺激に対するキャパシティが小さいお子さんにとっては、ショッピングモールは処理しきれない刺激の塊のような場です。そこにいるだけで、調子を崩してしまっても無理はありません。ならば、ある程度大きくなりキャパが広がるまでは、もっと刺激の少ないところで遊ぶことをルーティンにしてみてもいいかもしれません。

ここでもう一つお勧めしたいのが「ルーティンづくり」です。小さいお子さんにとって大事なのは、生活の基盤を築くこと。毎日、同じことが同じように起きる、ルーティンがあると、予定の変更に弱く不安になりやすいお子さんにとって、安心の柱になります。そういう柱の中に「家族で楽しめる遊び」を持ってくるとしたら、お子さんが小さいうちは、ショッピングモールではなくて、どこか自然の多い場所、大きい森林公園とか、海とか…そういうところに連れて行くのがいいかもしれません。お子さんが小さいうちの家族の週末の楽しみはミニ・デイキャンプ、なんていうのはどうでしょうか。

いずれ大きくなれば刺激の強いところでもきっと、楽しめるようになりますが、幼いうちは無理することはありません。そして「あちこち連れて行って楽しませてやろう」と考える必要も、ないのです。それがかえって本人に負担をかける結果につながることが往々にして、あるからです。
むしろ決まりきったパターンで、日常も、余暇も、組み立てててみてください。そのほうがかえって小さいお子さんは安定しやすいと思います。いったん生活の基礎が身に着いたら、いずれ段々と、様々な活動へチャレンジしていくことができます。

今回のように、人ごみに出かけることを自粛しなければならない事態に、あえて「自然の中で」楽しむというのはいかがでしょう。単にウイルス対策というだけでなく、幼いお子さんにとってはプラスになる体験になるかもしれません。

こんなことを書くのは、私自身が、ここに書いてあるとおりの失敗をやらかした経験があるからなのです。

感覚過敏の酷い娘を毎週、ショッピングモールに連れて行っていました。どこか楽しめそうなところがあれば、あちこちと連れまわし、色んな人が毎日家に遊びに来て、生活はルーティン化されていませんでした。その結果とても調子が悪くなって困り果てた…ということがあったのです。今ならわかる、やってはいけなかったこと。

でも、子どもにいろんな体験をさせようと、あれこれ試したくなる親の気持ちも、よくわかるのです。自分もやってきたことだから。

いろんな体験をさせるのは悪くないけれど、時期を見ながら、ということなんですよね。ほんと、すべてが、今だからわかる、今だから言えることなのです。私も、皆さんと一緒でした…!